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コタバト市、モロ青年研修所歓迎会にて 

 

 ツアー直前、「僕が住んでいたカビテは危険なところだけど、ミンダナオはもっと危ないです」と言っていた数年前卒業のフィリピン人生徒のことを思い出 し、気になって書店のトラベル・ブックのコーナーを覗いてみました。『地球の歩き方』のページをめくって驚いたのは、ミンダナオ島の扱いでした。80ペー ジがルソン島にさかれ、セブ島には30ページ、マニラに次ぐ大都市ダバオを有し、数ある島の中でもルソンの次に大きいミンダナオ島についての記述はわずか 10ページでした。しかも、私たちが訪問、滞在する予定のジェネラル・サントスとコタバトについては一言もふれていません。一言もない代わりに、「現在、 ミンダナオで旅行者が訪れて安心なのは、西北部ディポログ近郊、ダバオとその周辺、スリガオといったところ(実際、島の最西端サンボアンガでは滞在中の 10日夜、爆弾テロが2件、連続しておきています)」とあります。正直、穏やかではありませんでした。

 コタバト市でのイスラム青年との歓迎会でのギター伴奏による1曲目はフレディー・アギラの『Anak』でした。「お前が産まれたとき、父さん母さんたち はどんなに喜んだことだろう」と最初の部分だけを私が日本語バージョンで歌うことになり、モロの若者たちがタガログ語で続きました。『Anak』を若者た ちが歌う理由、それはこの歌が今日につながる(30年近く前と変わらない!)リアリティを宿しているからなんですね。『Anak』は、すえた臭いが鼻を突 く湿地帯に広がるエバキュエーション・コミュニティーや、廃屋然とした打ち抜き倉庫の暗がりに見捨てられ、すでに5年間をそこで暮らすバジャウの人々のと ころに足を運ぶモロの若者たちが闘っている現実そのものなんだということに思い至りました。 歓迎会で司会をされた方はその辺りを、聞き取りが苦手な私のために次のように書いてくれました。

 

 Many Filipino minors are engaged into anti-social activities like robbery, stealing, rape, drug addiction, murder, etc. due to poverty and lack of education and opportunity. None of them has dreamt of becoming such when they are still little kids, but the concrete condition of the country brought them to that world. Prostitution among Filipino minors is also rampant. They are victims of pornography and other forms of prostitution. Child labor is also rampant, many minors are working, and we can see children selling cigarettes and flowers in the streets as young as six years old. Some of them become beggars in the street. 

 

 充実した旅を支えてくれたのは、疲れ知らずの胃袋でした。旅の準備をしてくれた浅川さんと福田さんに感謝するとともに、食事を準備してくれたビビンさん に Maraming Salamat ! 

〈泉 康夫〉